慶應高校&慶應大が力を発揮するために取り組むミーティングと土台にある野村克也の言葉 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 今夏、甲子園で107年ぶりの優勝を果たした慶應高校野球部は大舞台で持てる力を存分に発揮したが、その土台には吉岡メンタルコーチに学んで磨いた精神力があった。そうしたアプローチの始まりは、森林貴彦監督が堀井監督に紹介を頼んだことだった。

 では、心を磨いて人として成長することは、野球とどのように関わってくるのか。三菱自動車時代に谷佳知や山口和男(ともに元オリックス)、JR東日本で田中広輔(広島)や田嶋大樹(オリックス)、伊藤将司(阪神)、慶應大学では木澤尚文(ヤクルト)、正木智也(ソフトバンク)らをプロに送り出してきた堀井監督はこう考えている。

「野村克也さんが言っていましたが、まさしく『人間的成長なくして技術的成長なし』だと。野球とどう関わるかといえば、広い意味ではそこにつながってきます。もうひとつは組織の成熟。この2つこそ、我々指導者が一番心を砕くところです。男女や年齢、ポジション、レギュラーや控えなど関係なく、フラットに話し合う。そうすることで普段から話しにくいことを堂々と言えるようになど、言動が変わってきます」

 チーム全体で青空ミーティングを行なった2日後の9月9日。慶應大学は開幕戦で立教大学に勝利すると、翌日も連勝して勝ち点1を獲得。3季連覇中の明治大学の牙城を崩すべく、好スタートを切った。

プロフィール

  • 中島大輔

    中島大輔 (なかじま・だいすけ)

    2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。

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