井口資仁が夏の甲子園を沸かせた佐々木麟太郎ら11人の好打者を診断 太鼓判を押した伏兵は? (11ページ目)
仙台育英との決勝戦で先頭打者アーチを放った慶應義塾・丸田湊斗この記事に関連する写真を見る丸田湊斗(慶應義塾/外野手/174センチ・73キロ/右投左打)
ひと振り見ただけでヒザ関節の柔らかさを感じ取れます。変化球に対してヒザを柔らかく使って対応し、バットヘッドをしならせてとらえる。タイミングをゆったりとれて、相手投手からすると吸い込まれるような、投げづらさを感じるフォームです。仙台育英との決勝戦では2ストライクと追い込まれた後、ノーステップ打法に切り替えて先頭打者本塁打を放ちました。ノーステップでも余計な力が入らずにゆったりと呼び込めて、インパクトの瞬間だけ力を込められる。体のバランスもいいし、まさにセンスの塊。プロの打者も見習ってほしいくらい理想的なスイングです。大学でも早い段階で戦力になれるでしょう。
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今回チェックさせてもらった選手のなかでは、松本くんと丸田くんのバットの出方のよさがとくに目に留まりました。高校野球での金属バットからプロで木製バットに切り替わった際、もっとも大事なのはタイミングとインパクト。インパクトに強さを出すには全身に力が入っているようではむしろ逆効果で、柔らかさが求められます。プロでも強い打球を打てるコツをつかみ、すばらしい打者へと成長していくことを祈っています。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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