慶應義塾が「想定外の勝利」で103年ぶり決勝進出 盤石の王者・仙台育英にどう立ち向かうのか (4ページ目)
その試合で唯一、気になったのは5点リードの最終回に小宅が登板したこと。
「ブルペンで準備していたので、『投げるか?』と聞いたら、本人が『投げたい』と言ったので......ブルペンで終わらないでマウンドにいく形になりました」(森林監督)
わずか5球だけだったが、やはり、大観衆のなかで投げる試合での1球はブルペンの1球とは違う。この影響ではないだろうが、小宅は準決勝の7回表が始まる前に「ふくらはぎをつりかけた」という理由で試合が中断し、治療を受けている。そして決勝に先発することがあれば、初めて100球を超えてからの中1日での登板となる。はたして、万全の状態でマウンドに上がれるのか気になるところだ。
予定どおりの投手起用、そしてイメージどおりの作戦で勝ち上がってきた仙台育英。あえて想定外の戦いをしてチーム力を高めた慶應義塾。
両校は今春のセンバツ1回戦でも対戦し、延長10回タイブレークの末に2対1で仙台育英が勝利している。仙台育英が再び勝利し、夏連覇を達成するのか。それとも慶應義塾が雪辱を果たし、107年ぶりの日本一に輝くのか。決勝戦は8月23日、14時にプレイボールのサイレンが鳴る。
著者プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。
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