「佐々木麟太郎はプロで通用するのか?」「今大会で最も評価を上げた打者は?」スカウトに訊いた (5ページ目)
高校通算24本塁打の八戸学院光星のショート・中沢恒貴は逆方向に放り込める長打力が売り物。甲子園では不発も、「育成なら」とリストに残す球団はあった。
「インコースのさばきは悪くないし、逆方向にもいい打球を打てる。バッティングのセンスはあります。ただ、スローイングに不安が多い。脚力やバネもあるほうではないので、プロでショートとしては厳しいかもしれないですね」(セ・リーグスカウトB氏)
「ヤクルトの山田哲人みたいな感じがあります。バッティングはいいです。守備や走塁にもっと興味を持ってほしいね」(パ・リーグスカウトC氏)
大阪桐蔭の松尾汐恩(現・DeNA)、聖光学院の山浅龍之介(現・中日)、九州国際大付の野田海人(現・西武)ら昨年豊作だった捕手だが、今大会は人材難。「バッティングが成長していてびっくりした。スローイングに力もあるし、4年後は3位以内の期待ができる」と高評価だった仙台育英・尾形樹人は大学進学希望。そんななかスカウトから名前が挙がったのが、浜松開誠館の新妻恭介だ。
「素材はいい。野球選手らしい体つきをしています。スローイングの球筋がすばらしいし、キャッチングもいい」(パ・リーグスカウトA氏)
「いい肩をしていますね。バットも振れるし、リストも強い。初戦でホームランを打ってアピールしましたよね。十分、プロにかかるレベルだと思います」(セ・リーグスカウトD氏)
このほか大学進学予定だが、聖光学院の遊撃手・高中一樹には「私のなかでは、今大会のナンバーワン遊撃手。将来が楽しみ」(パ・リーグスカウトC氏)、徳島商の森煌誠からバックスクリーンに本塁打を放った智辯学園・松本大輝には「長距離砲として期待したいですね」(パ・リーグスカウトA氏)という声があった。
大会前から冒頭で紹介した3人に注目が集まったが、森田のように甲子園の活躍によってスカウトの評価を上げた選手もいる。将来、この世代からどんな選手がプロで活躍するのか楽しみでならない。
著者プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。
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