龍谷大平安の逆転劇を呼んだ「補欠だった」選手たち エースが後ろを託すのは「練習が好きじゃなかった」同級生
春のセンバツ、大会4日目。長崎日大(長崎)に4対3で競り勝った龍谷大平安(京都)の原田英彦監督は、甲子園通算31勝目(歴代14位タイ)を掴んだ試合後、渋い表情で話し始めた。
「重苦しい試合展開でした。途中までは本当に苦しかったですね。7回にエラーとパスボールで2点取られて......『流れを変えないかん』と思いました」
長崎日大を相手に7回、自責点1と好投した龍谷大平安のエース・桒江駿成この記事に関連する写真を見る 1対3で迎えた7回裏、代打策を打った。
二死、一塁の場面で8番打者に代えた石丸晟智(3年)がレフト前ヒットでチャンスを広げ、9番のエース・桒江駿成(3年)の代打で起用された松井駿太(3年)の打席で、2球目が暴投となり1点差。その後、松井のタイムリーヒットで同点に追いつき、1番・白石力翔(3年)の逆転打を呼び込んだ。
控え選手の活躍について、原田監督はこう言った。
「石丸は今回初めてメンバーに入った選手です。思い切ってスイングしてくれました。石丸も松井も、いつもコツコツまじめに練習をやる子たち。こんな大観衆のなかで代打に出て簡単に打てるもんじゃない。ふたりともよく打ってくれました」
リードを奪うと、8回からリリーフに立った岩井聖(3年)がノーヒットに抑え、42度目のセンバツ出場となる古豪が令和初勝利を挙げた。
「岩井はいいものを持っているんですが、練習があまり好きじゃなかったので、チームメイトが認める選手ではなかった。でも、川口知哉コーチ(2022年4月就任)が向き合って育ててくれました。春のオープン戦で先発でも抑えでも結果を出して、メンバーに入ってきたピッチャーです。もし去年の秋だったら、桒江に代打を出さないでそのまま投げさせたと思います」
184cm・78kgの岩井は、140キロ台後半のストレートを真っ向から投げ込んでいった。
「みんなに認められてメンバーに入って、甲子園という大きな舞台で投げて自信になったと思う。彼もうれしかったでしょうね。バッテリーに関しては、川口コーチに全部任せて、僕はノータッチ。緻密な対策を立ててくれています」
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