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龍谷大平安の逆転劇を呼んだ「補欠だった」選手たち エースが後ろを託すのは「練習が好きじゃなかった」同級生 (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●撮影 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 7回まで7奪三振、自責点1の好投を見せた先発の桒江はこう言う。

「勝った瞬間はうれしくて、整列した時には泣きそうになりましたね。松井は僕の代打だったので、『絶対に打ってくれ』と思っていました。ヒットの瞬間はベンチが盛り上がって、監督さんもすごく喜んでました」

 8回からマウンドを譲った岩井の実力は、桒江も認めている。

「岩井は1年の夏からベンチに入った選手で、もともと実力はあります。ただ、その後はあまりよくなかったので、『自分でやらないと』と思っていました。でも今は、岩井がリリーフでいるので心強いです」

 自分たちのミスで苦しくなった試合を、秋季大会では主力じゃなかった「補欠の力」で逆転勝利を収めた龍谷大平安。さらに勝ち上がっていくためには、何が必要なのか。原田監督はまた苦い表情で言う。

「本当は言いたくないんですが、寝坊した選手がふたりいました。それなのに、ほかの選手は何も言わない。僕はもう放っておきましたけどね。そういう部分が試合でも出るんです。だから、今日の試合のような流れになる。そのあたりをみんなに考えさせて、次に向かっていきます。

 監督やコーチに何か言われなくても、自分たちでちゃんとやれるようにならないと。『本当の強さは身につかないぞ』と言うつもりです」

 原田監督が期待しているのは、ノーヒットに終わった3番の山口翔梧(3年/秋季大会の打率.615)、4番の山下慶士(3年/同打率.469)の奮起。エースの桒江が粘り強く投げ、主軸がいつも通りの打撃を見せれば、次戦で当たる優勝候補の仙台育英(宮城)とも互角に戦えるはずだ。

 接戦に持ち込むためには、先発投手が抑えなければいけない。桒江は言う。

「川口コーチには、『ツーストライクまで追い込んでからストライクを投げるな。ボール球で勝負しろ』とよく言われています。今日はそういうピッチングができたと思います。早めに追い込んで、ストライクからボールになる球を振らせたい。そうすればもっと空振りを取れると思います。大事なのは、自分が相手を抑えて攻撃のリズムを作ること」

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