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甲子園優勝にも「達成感はまったくない」。仙台育英・須江航監督が考える「高校野球における監督の役割」とは? (2ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文・撮影 text & photo by Kurita Shimei

「選手たちが自分の役割を理解している」

――甲子園優勝を経て、新チーム開始時にはどんな言葉をかけてスタートしたんですか?

須江:「もし私が去年のチームと比較するようなことがあれば、その際は遠慮なく言ってくれと。去年はあれができた、これができた、なんて言われると選手はやりにくいですから」

――印象的だったのが、東北大会の青森山田戦。同点で迎えた9回、ワンアウト満塁の場面でリスクもあるなか、甲子園でもマスクを被った主軸の尾形樹人くんがスクイズを実行しました。

須江:「たぶんね、ウチのチームは全員が『この場面はスクイズだ』と思っていたと思いますよ(笑)。青森山田さんからしたら虚を突かれた感じかもしれませんが、ウチはそういう共通認識があったはず。夏の甲子園の明秀日立戦でも、ビハインド時にスクイズで点差を詰めた。その後の7回に連続押出し四球で同点になったあと、岩崎(生弥)が初球で犠牲フライを打ったシーンも本質的には同じです。

 それらのプレーは、選手たちが自分の役割をしっかり理解しているからできたと捉えています。決して打てるチームではないですから、日頃の練習から準備していたことが試合で出た場面でしたね」

――来春の新3年生は、佐々木麟太郎(花巻東)、前田悠伍(大阪桐蔭)、真鍋慧(広陵) 、佐倉侠史朗(九州国際大付属)くんなど、かなりの好素材が揃う年にもなります。

須江:「近年でも有数のレベルが高い世代とみています。佐々木くんや前田くんしかり、真鍋くんもいい。相当な逸材が揃っていることは明らかです。ウチにもドラフト上位候補へと成長する可能性を秘めた投手が複数います。こういう年は、レベルの高さに周りが影響を受けて、全体的に底上げされる。まだ全国的には無名の選手でも、爆発的に伸びてすごい選手が出てくると思いますよ」

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