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春夏連覇に挑んだ大阪桐蔭は本当に「絶対王者」だったのか。指揮官が語った「歴代13番目くらい」のチームの葛藤と成長 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ただ、大阪桐蔭の歴史を振り返ると、もっとダイレクトに強さを感じさせるチームはいくつもあり、今回の西谷監督のチーム評は決して謙遜とは思わなかった。

 そもそも「強さ」に明確な基準はなく、感じ方も人それぞれ。勝てば「強い」となり、そこへわかりやすい数字がついてくると、「強すぎる」といった今回のような評価になる。

 センバツでは不戦勝を除く4試合で、大会新記録となる11本塁打、51得点。接戦もなく、傍から見ると「圧勝」だった。しかし、対戦した相手投手のコンディションなどを考えれば、その結果が実力どおりでないことは、大阪桐蔭の選手、指導者らが誰よりもわかっていたことだった。

 だからこそ夏へ向かうなかで、チームに油断や慢心といった類のものは皆無。世間の評価に惑わされることもなく「まだまだ。もっともっと」と、それまでと変わらず野球に打ち込んだ。

データ班の分析は「下関国際は手強い」

 春の近畿大会決勝で智辯和歌山に敗れ、公式戦の連勝が29でストップ。その後の練習試合でも東海大菅生(東京)、東海大相模(神奈川)、報徳学園(兵庫)に敗れた。それでも夏の大阪大会を危なげなく制すると、甲子園にはもちろん「大本命」として登場した。

 1回戦の旭川大高(北北海道)戦は、この夏初めての接戦となったが逆転で勝利。続く聖望学園(埼玉)戦は25安打、19得点の猛打で圧倒。3回戦の二松学舎大付(東東京)戦は背番号1の川原嗣貴が完封して4対0。

 過去のチームを思い出し、今回が抜けて強いとは思わないが、それでも他校との比較となると「今回もやはり大阪桐蔭か......」という気分になっていた。しかし、そうはならなかった。

 下関国際戦の前日、西谷監督はオンライン取材で「攻撃も守りもしぶとくやられるチーム。粘り合いになると思います。なんとか負けないようにやりたい」と語っていた。西谷監督らしい慎重なコメントに映ったが、大阪桐蔭の強さを支えるデータ班の分析結果も「下関国際は手強い」だった。

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