石毛宏典が振り返る1974年の「黒潮打線」銚子商。「篠塚(和典)はひ弱な印象だけど、投手力が際立っていた」

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News、Sankei Visual

篠塚らと地元の子供たちに野球指導

――銚子商ではなかったんですね。

石毛 市立銚子の野球部で監督をされていた矢部正臣さんが、担任の先生と親しかったようなんです。2人とも野球に対する情熱がすごい方で、「これから市立銚子の野球を強くしたいんだ」とおっしゃっていました。

 ただ、市立銚子は進学校で、普通科の生徒は勉強が忙しくて野球部を辞めてしまうという傾向があった。そこで矢部監督は、「これから銚子商と対等に戦っていくために、工業化学科に野球部の生徒を集めて強くしよう」ということになったんですが、僕らの学年がその"走り"になったんです。 今はうまく勉強と部活を両立している学校が多いですけどね。

――石毛さんはあと一歩で甲子園に届かなかったわけですが、「もし決勝で勝っていたら......」と思うことはありますか?

石毛 普通は悔しいですよね。でも、自分にはそういう気持ちがなかったんです。そもそも高校に行く気もなかったですし、「甲子園なんて別に」って感じでしたから(笑)。

――しかし石毛さんはその後も駒澤大学で野球を続け、社会人野球(プリンスホテル)を経て西武に入団。西武黄金時代のチームリーダーとして、8回の日本一、11回のリーグ優勝に貢献されました。

石毛 中学で野球を辞めようと思っていたのにね。本当に人生はわからないものです(笑)。

――当時の銚子商のメンバーと会う機会は今でもあるんですか?

石毛 木樽さんが中心になって2019年まで開催していた「黒潮野球教室」では、僕も篠塚も指導をしていました。"野球のまち、銚子"の復活を目指して、銚子商と市立銚子出身の元プロ野球選手が地元の子どもたちを指導するというイベントで、年によっては土屋も参加していました。

 今では千葉県東総地区(銚子市・旭市・匝瑳市)の高校出身の元プロ野球選手が高校生に野球の技術指導をする「東総地区三市交流野球教室」が行なわれています。みんなで協力して子どもたちに指導することは、有意義に感じています。

――そこで指導した子供たちの中にも出場する選手がいると思いますが、今年も千葉大会が7月9日に開幕。全153チームが夏の甲子園を目指します。

石毛 春夏連続で甲子園を狙う木更津総合が注目されていますが、昨夏に甲子園に出た専大松戸や、拓大紅陵、習志野、市立船橋など、多くの高校にチャンスがありますね。もちろん、母校の市立銚子にも期待しています。銚子商も今年の春季千葉県大会では、習志野や木更津総合を破って準優勝を果たすなど力をつけてきていますね。野球が強いと銚子は活気づくので、頑張ってほしいです。

◆石毛宏典さん公式YouTubeチャンネル
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