小倉清一郎が選出した横浜高校歴代エースベスト5。「松坂も涌井も入学時は普通の投手だった」 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

プロ入り後に大きく成長した成瀬善久プロ入り後に大きく成長した成瀬善久この記事に関連する写真を見る

成瀬善久(ロッテドラフト6位)

 成瀬は中学時代、スライダーとカーブの2つが抜群の投手だった。そのうえ、針の穴を通すコントロールがあった。高校入学後はチェンジアップも覚え、投球の幅を広げた。

 とはいえ、球速はなかった。だから「スピードはなくても勝っている星野伸之(NPB通算176勝)のフォームを真似しろ。ボールを背中に隠せ」と指導した。それがあの"招き猫"と呼ばれたフォームになっていった。

 成瀬のストレートは最速でも135キロ程度だったが、回転がいいから球が伸びる。このストレートを見て「プロでも絶対活躍できるはず」と思った。だから、何がなんでもプロに入れなくてはいけないと思った。顔見知りのスカウトに「間違いないから、だまされたと思って獲ってくれ」とお願いしたこともあった。

 ロッテ6位で入団した成瀬だったが、プロ4年目の2007年に16勝1敗、防御率1.81で最優秀勝率と最優秀防御率のタイトルを獲得した。2010年も13勝を挙げ、シーズン3位から日本一の原動力となった。オレの目が確かだったことを証明してくれた。

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