花巻東・佐々木監督が『ドラゴン桜』作者に語った「なぜ岩手から次々に逸材が現れるのか?」の答え

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Hosono Shinji

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菊池雄星の存在は革命だった

三田 それにしても、雄星投手の3年時、2009年は本当に夢を見させてもらいました。今でも、センバツの決勝戦は忘れられない。大優勝旗を岩手に持ち帰る雰囲気がありましたからね。結果的に、花巻東は清峰(長崎)に0対1で負けて準優勝に終わるのですが、まさにそこが岩手の高校野球の劇的な変化だったと思います。甲子園の決勝は、特別な舞台。超スペシャルな場所なんです。その決勝に、岩手の高校が立った。岩手県民にとって、どれほどの衝撃だったか。

佐々木 それまでは1回戦突破が目標だったのが、日本一を本気で目指すようになったのは事実です。

三田 まさに劇的な変化、ターニングポイントとなったのが2009年。同時に、雄星投手の存在自体が「革命」だったとも言えます。

── あれから十数年が経ち、花巻東高校は三田先生の目にどのように映っているのでしょうか。

三田 花巻東には2009年当時と変わらない、いい意味での田舎臭さがあると思うんです。決して、格好いいチームではない。でも、それこそが大事で、愛される個性や魅力になっている。高校野球ファンは何を求めているか。僕の勝手な解釈ですが、それは故郷なんです。全国から各県の高校が集まる甲子園の戦いに、みなさんは郷愁を求めていると思います。夏に限って言えば、洗練されたチームばかりが49校集まっても、誰も面白いとは思わないはずです。見る者は、どこかで自分自身の故郷を感じながら応援している。それが高校野球の甲子園大会だと思います。花巻東には、土の匂いがするチームカラーを持ち続けたまま、まだ見ぬ甲子園優勝を成し遂げてほしいですね。

佐々木 我々は、プロよりもプロフェッショナルでなければ勝てないと思っています。プロ野球のように1年間を通して勝敗を競うわけではなく、高校野球は1敗もできない。そういう意味では、いろんなものを一生懸命にやらなければいけないし、いろんなものを融合させてチームづくりをしなければいけないと思っています。すばらしい能力を持った選手の可能性を引き上げてあげることは大事です。ただ、その指導に偏らずに、チーム全体を見渡しながら勝利を求めていくことも大切です。要するに、指導ではバランスが重要だと思っています。

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