奥川恭伸、佐々木朗希の世代からまた好投手。元広陵の右腕が脅威の完成度でドラフト上位候補に急浮上 (2ページ目)
だが、河野が高校時代から好投手だと知っていても、わずか2年間でこれだけ進化することを予期できた人間などいなかったのではないだろうか。
とくに大阪ガス入社後に進境著しいのはコントロールだ。河野は身長176センチ、体重80キロと体格的に恵まれているわけではなく、セットポジションからオーソドックスな投球フォームで投げ込む。一見すると「怖さがない」と評されてしまいそうだが、河野には際どいコースをピンポイントで突けるだけの制球力がある。
社会人でコントロールのコツをつかんだのだろうか。試合後のリモート会見で河野に聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「細かく狙うのではなく、高低は意識せずにラインだけ意識しています。真ん中に入れないようにすればいいというくらいで、無駄な考えがなくなってからラクに投げられるようになりました。入社して最初は全然その感覚ができなかったんですが、YouTubeの動画を見たりして『この感覚いいな』と自分に当てはまったものが見つかってからコントロールできるようになってきました」
ストレートだけでなく、カットボールやフォークなどの変化球もコースにきっちりと投げ分けられれば、社会人レベルでも河野を攻略するのは難しい。
一方、ひねくれた見方をすれば、あまりに完成されすぎてスケールがないとも言える。だが、大阪ガスの前田孝介監督は期待を込めて「もうひと伸び成長してもらいたい」と語る。大事な大会前だからといって軽い調整に抑えるのではなく、河野の場合は年間通してスキルアップのためのトレーニングを継続している。
そして何よりも、河野のなかに「もっとレベルアップしていかないと」という強い向上心がある。
「細かいコントロールや変化球の精度を高めようとやってきています」
大阪ガスの次戦は12月5日、社会人屈指の強打線を擁するJFE東日本(千葉市)との対戦になる。実績のある投手を多数擁する大阪ガスだけに河野の登板があるかはわからないが、勝負所ではこの20歳の力が必要になるだろう。
社会人の頂点を極めるため、そしてドラフト解禁となる来年に向けて。河野佳は現状維持ではなく、常に進化を目指していく。
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