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常総のエースが母校監督になり34年ぶり甲子園。センバツでも強運発揮か (4ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Sankei Visual

 元プロだから勝って当たり前と思われるプレッシャーもあり、大会中はほとんど眠れなかったという。とくに関東大会出場がかかる茨城大会準決勝と、勝てば甲子園出場が濃厚になる関東大会準々決勝は緊張したという。

「チャンスがそこにあって、ここで負けたら意味ないじゃん、というところで負けるのが一番嫌。トーナメントは30年ぶりぐらいですし、結構、緊張しまくっていました。次がない怖さがありますからね」

 そう言いながらも、就任後初の大会でいきなり甲子園出場を果たしてしまうところが、島田監督の運の強さ。じつは島田監督の強運は、高校時代からだった。千葉出身ながら、開校直後の常総学院に3期生として入学したのには、こんな理由があった。

「ずっと一緒に野球をやっていた幼なじみが『常総の練習に行くんだけど、行く?』と。そいつのひと言がなかったら、来ていなかったと思います」

 その幼なじみは途中でやめてしまったが、島田監督はエースとなった。

甲子園優勝3回。木内幸男監督の「マジック」はいかにして生まれたのか>>

 ちなみに、常総学院にとって初めての甲子園出場となった1987年のセンバツは補欠校で、東海大浦安が不祥事で出場辞退したことで巡ってきたチャンスだった。

 また夏の甲子園では、準決勝の東亜学園戦で0対1とリードされた8回裏に好投手・川島から同点本塁打を放ったのだが、その時もこんな感じである。

「高校通算4本塁打しか打っていないですし、普段は初球打ちしないタイプなのに、あの時はカーブが来るという読みが当たった。初球を打ったのはあの時が初めてでした」

 こんな話のオンパレードなのだ。

「みんなから『持ってる』って言われますけど。そのへんはわからないですけど、なんかあるんじゃないですかね」

 島田監督の初陣は3月24日の第3試合、敦賀気比(福井)戦だ。昨年秋同様、眠れない日々が続いただろうが、今大会の常総学院には強力な二枚看板がいる。

 島田監督が「ゲームをつくれる。リズム、コントロールがいいし、四球で崩れない。見ていて楽ですね」と評価する、安定感が持ち味の秋本璃空。最速146キロのストレートが持ち味の大川慈英。センバツは投手力のあるチームが優位なだけに、初戦に勝って勢いに乗れば......。島田監督の甲子園初采配に注目だ。

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