まさかの4失点KO。プロ注目の松浦慶斗が苦しんだ「大阪桐蔭のエース像」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

『特集:球春到来! センバツ開幕』

 3月19日、2年ぶりとなるセンバツ大会が開幕した。スポルティーバでは注目選手や話題のチームをはじめ、紫紺の優勝旗をかけた32校による甲子園での熱戦をリポート。スポルティーバ独自の視点で球児たちの活躍をお伝えする。

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 西谷浩一監督が率いる大阪桐蔭が甲子園初戦で敗退するのは初めて。その事実以上にショッキングだったのは、大阪桐蔭が誇る強力投手陣の投球内容だった。

 智辯学園戦に先発したエース左腕・松浦慶斗は立ち上がりに4点を奪われ、4回4失点で降板。さらに2番手の右腕・関戸康介は1回1/3を投げて4暴投を犯すなど、3失点の乱調だった。

 大会屈指の好投手と注目された左右両輪が共倒れ。大阪桐蔭は昨秋の近畿大会決勝で敗れた智辯学園に、6対8で再び敗れた。

大阪桐蔭のプロ注目左腕・松浦慶斗大阪桐蔭のプロ注目左腕・松浦慶斗 甲子園での戦い方、調整法を知り尽くした大阪桐蔭。しかもプロ垂涎の好素材を複数擁しながら、本調子とはほど遠い出来に終わってしまった。

 エースナンバーをつけた松浦は、責任を一身に背負い込んだ。

「自分は立ち上がりが不十分なところがあって、今までの練習試合も初回の失点が多かったんです。『絶対に初回を抑えたろう』という気持ちでいったんですけど、気持ちが空回りしてしまった。調子は悪くなかったんですが、自分のピッチングができませんでした」

 捕手の田近介人も「ボールに勢いはありました」と証言したように、状態は悪くなかったようだ。

 一方で、西谷監督は松浦について、こんな見方をしている。

「今日はとくにゲームをつくろうという意識が強すぎたんじゃないかなと思います。なかなか自分のペースに持っていけませんでした」

 ゲームをつくる意識──。それは松浦がひと冬かけて取り組んできた課題のはずだった。

 智辯学園に3対7で敗れた昨秋の近畿大会決勝戦では、松浦は5回を投げ、山下陽輔に本塁打を浴びるなど被安打7、失点4と打ち込まれた。その試合後、松浦はこんな課題を語っていた。

「自分は制球難が目立ったので、左打者のインコース、右打者のアウトコースと左右の両コーナーに投げ分けられたら、もっといいピッチングができると思います」

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