明徳義塾のエースを仙台育英の監督も賞賛。130キロ台の直球で圧巻の防御率を誇るわけ (3ページ目)

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • photo by Terashita Tomonori

 ストレートとほぼ同じ球速でホームベース付近で急速に落ちるカットボールと、昨秋も62回で10四死球、1試合平均で1.45の低い与四球率。これが彼のピッチングを支えている。

 ただ、もうひとつ代木には強みがある。たとえば、3月7日の練習試合。わずか99球で昨秋香川県王者の藤井学園寒川を完封した後の代木のコメントはこうだ。

「今日は、高さはともかくコースを意識した投球を心がけました。冬は球速を意識しすぎて状態を崩した時期もあったんですが、力感、身体の使い方はつかめた部分もあります」

 この冬は73キロから85キロまで増量に成功した身体を強く、かつ柔らかく使うトレーニングに取り組みつつ、「身体の近くから上げ、背中から入りすぎない」トップの作り方の研究にも着手。センバツでは「相手を見ながら自分の投球をする」ことを目指し、練習試合では「引き出しを多くするようにあえてストレートを連投したり、カーブを入れてみる」点にも気を配っている。

 馬淵監督も「旧チームから地道に身体づくりをしてきた」と認める野球への実直な取り組みと、「打てなくても勝てる。打ったら大差で勝てるように。勝つために戦う」という明徳義塾の環境で培われた細部に渡る勝利への方程式づくり。これが「コントロール左腕」代木の源流である。

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