野球部に残る女子マネへの偏見。選手との会話で感じた男女平等への課題 (3ページ目)

  • 樫本ゆき●取材・文 text by Yuki Kashimoto

「マネージャーは戦力ではなく、お手伝いさん」。極端に悪い言い方をすればそういうことだろう。学生の不器用なやりとりがほほえましいが、これが無意識バイアスなのか? 渡邊さんは考えた。「女子マネは献身、自己犠牲のイメージが強い。そのバイアスを問うところから、部員同士で語り合いたいですよね。めちゃめちゃ煙たがられると思いますが」と、やはり明るく笑って話した。

 女性の社会進出が叫ばれているが、彼女たちの目もシビアだ。2人は「長く働く」を意識して就職活動をしている。渡邊さんは、業種にこだわらず、女性復職率、女性雇用の進んでいる企業をチェックしている。2人のキャリアプランは「20代で結婚、出産。子育てをしながら長く働ける仕事に就くこと」。理想のロールモデルは、家事をしながらバリバリ働く「自分のお母さん」と声をそろえた。

「女性が、っていうより、男女関係なく人は平等に扱われなければいけないと思う。そういう社会になってほしい」と小栁さん。「女子マネージャーは物静かで、指示待ち、みたいなイメージを変えて存在感を高めたい。まずは男子部員と対等な立場で部活に参加できるようにしたい」と渡邊さんは言う。

 関東連盟では、現在20名の学生委員がおり、うち9名が女性だ。この春に広報会議(通称)「JUNKO-WERK CAFE」を設立し、連盟全体で産学運用、SDGs、サステナブル活動に積極参加することを決めた。「斬新な意見は、むしろ女子学生のほうから出てくる。男子学生にもさらに頑張ってもらいたい」と山田理事長。ジェンダーギャップ指数121位(153ヵ国中)と、G7の中で最も低い日本。深刻な問題だからこそ、準硬式は明るく「男女平等」を実現していく。

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