高校野球芸人が見たコロナ禍の甲子園。テレビ観戦が役立った「いい話」 (2ページ目)
昨年秋のドラフトで日本ハムから4位指名された智辯和歌山の細川凌平かみじょう 甲子園がなかったから痛感したけど、2020年は体がラクやったわぁ。
いけだ たしかにそうですね。
かみじょう 家で観戦するのって、こんなにラクなんやなと思った。炎天下で3試合、4試合と続けて見ていると時には苦行みたいな感覚になることがあるから。もちろん、誰に言われるわけでもなく、勝手に見ているだけなんやけど(笑)。
いけだ テレビだとリプレイもありますし、地方大会の情報を補足してくれるのもありがたいですよね。あと、甲子園を見ていてトイレに並ばなかったのは初めてです。家には自分専用トイレがあるので(笑)。
かみじょう ほんまやなぁ。
いけだ 2020年は選手の顔が一番よく見えた気がするんです。
かみじょう あっ、それは俺も感じてた! 現地で見ていると、じつは球児の顔って遠くてよくわからないんだよね。帽子を被るとみんな同じように見えてくる。新大阪駅でせっかく甲子園球児から「かみじょうさんですよね?」と話しかけてもらっても、誰かわからないことも多くて。
いけだ テレビ観戦にはテレビ観戦のよさがあると発見できましたね。
かみじょう テレビ観戦して、初めて人の役に立てたなと思ったことがあったのよ。智辯和歌山のキャプテンをしていた細川凌平くんのことなんやけど。
いけだ ドラフト会議で日本ハムから4位指名を受けた選手ですね。
かみじょう 夏の甲子園交流試合では、尽誠学園(香川)に完敗やったんやけど、細川くんの最後の打席、笑顔で打席に立っていたのが印象的で。それまで名門校のキャプテンらしい、厳しい表情ばかり見てきたから。
いけだ それもテレビじゃないと見られない表情ですね。
かみじょう 細川くんのお父さんとはもともと観戦仲間やったから、現地で観戦していたお父さんに連絡したんや。細川くんの笑顔のことを伝えたら、お父さんは声を詰まらせて「そうでしたか。凌平には『最後はおまえが笑顔でプレーしてくれたらうれしい』と言っていたんです。約束を守ってくれたんですね」って。
いけだ キャプテンの重圧から解き放たれたんでしょうねぇ。いい話です。でも、やっぱり球場でしかわからないこともありますよね?
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