山田高校はなぜ履正社を撃破できたのか?「公立の奇跡」の舞台裏 (5ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

 翌春開催されるセンバツ出場をたぐり寄せるには、近畿大会1勝、内定するには2勝が必要とされる。まだまだ険しい道が続くが、一部からは21世紀枠での出場を期待する声も聞こえてくる。しかし、選手たちにその思いはない。主将の尾崎が力を込める。

「『強豪を倒してセンバツに行こう』とみんなで言っています。ここまできたらセンバツを狙わないと......こんなチャンスはないので。自力でなんとか2勝、3勝して、自分たちの力でセンバツに行きたいです」

 3つ勝てば決勝だが......と思いながらも、「そのくらいの気持ちがないと」と金子監督も続いた。

「どこも強い相手ばかりですけど、だからこそ『勝てたらいいなぁ』では勝てない。普段でも『盗塁できるかな』ではなく『できる!』と、それくらいの腹のくくり方をしないと成功しないと言っています。今回もどこまで腹をくくれるか。まずはそこだと思っています」

 近畿大会初戦は10月17日、京都の1位校・龍谷大平安との対戦が決まった。山田高校にとって史上最大の挑戦がいよいよ始まる。

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