2020.09.08

1週間500球の制限に「公立つぶし」の声も。
初適用の当事者たちが語る違和感

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Nikkan sports

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 リミットは、75球だった。

 札幌国際情報の有倉雅史監督は、南北海道大会準決勝に勝った直後のインタビューでエース・原田航介の投球数について問われ、こう言っていた。

「球数で代えるしか......ないですよねぇ」

球数制限により南北海道大会決勝の5回途中で降板した札幌国際情報の原田航介 原田は8月4日の1回戦・札幌日大戦で完投して137球。6日の準々決勝・東海大札幌戦で8回を投げ138球。さらに8日の準決勝・駒大苫小牧戦で完投して150球を投げていた。

 5日間で合計425球。今年から適用された1週間500球の球数制限により、9日の決勝では75球までしか投げられない。決勝の相手は1回戦、準々決勝で2ケタ得点を挙げ、準決勝ではプロ注目の2メートル左腕・札幌大谷の阿部剣友を攻略した強打の札幌第一。

「原田は球数が多い方なので、(先発した場合)よくて4イニングちょっと。最悪だと3イニングぐらいかなと思っていました」(有倉監督)

 とはいえ、ほかの投手を先発させ、原田をリリーフに回すことは考えなかった。公立校である国際情報にとって、3番・エースの原田は絶対に外せない大黒柱だ。昨年も2年生エースとしてチームをけん引。決勝で北照に延長14回の末に敗れたが、全4試合に先発し、チーム史上初の準優勝と甲子園一歩手前まで導いている。原田が投げなければ、強豪私学相手に試合にならないのは明白だった。

 ただでさえ二番手投手との力の差が大きいのに加えて、今年は新型コロナウイルスの影響で活動自粛期間が続いた。大会前の練習試合は7月に入ってからのわずか8試合のみ。

「ゲームに投げられる状態に持っていくのがやっとでした。(活動再開から)大会まで1カ月では、ピッチャーを育成する時間も余裕もなかった」(有倉監督)

 事実、8対1と大差となった東海大札幌戦の9回に2年生左腕の木村駿太がマウンドを踏んだが、有倉監督曰く「まったくダメでした。決勝まで行った場合、これはまずいと思いました」。