1週間500球の制限に「公立つぶし」の声も。初適用の当事者たちが語る違和感 (4ページ目)
ランナーこそ出なかったが、イニング途中の交代には成功した。とはいえ、菊池監督の胸中は複雑だった。
「かわいそうなルールだと思いましたね。とくに今日は......」
自らも現役時代、エースとして南北海道大会決勝で投げて敗れた経験を持っている。それだけに、このような形での降板にやるせなさが募った。
1週間500球という球数制限は、はたして本当に最善なのか。ほかにも考えられる策はあるはずだ。
ひとつは、WBCなどで採用されている1試合の球数によって休養日を設定することだが、投手の数が少ない公立校にとっては現実的ではない。
となれば、残りは一択。日程の見直しだ。
春秋の北海道大会、夏の南北の北海道大会は準決勝の前日に休養日が設けられている。ところが、それだけでは原田のように1週間500球に達してしまう可能性が大いにある。
今年の南北海道大会を例にとれば、8月3日開幕で決勝が9日の7日間。国際情報は2日目が初戦だったが、初日に登場したとしても1週間で4試合となる。甲子園のように準決勝の前と決勝の前の2度休養日を設けたとしても、初日に登場する学校以外は1週間で4試合は変わらない。
そう考えると、大会を前半と後半に分け、前週は準々決勝まで、後週は準決勝、決勝とするのはどうだろうか。秋の地区大会は全国各地で週末ごと2週に分けて開催されている。関東大会も2017年までは5日間連続開催だったが、2018年からは2週に分けての開催に変更された。
2週に分けることが難しくても、準々決勝と準決勝の間にせめて4日間休みを入れられれば現状の1週間500球ルールの球数制限は回避できる可能性が高い。
移動の負担や費用はかかるが、まずは選手の体を優先することが第一。北海道に限らず、愛知など終盤に過密日程になる都道府県は他にもある。工夫して日程の見直しをしてもらいたい。
そもそも、1週間500球のルールに根拠があるのか疑問だ。選手の体を守ることが目的で、その手段としてルールがあるべきだが、現実はルールをつくることが目的になっている。手段と目的がひっくり返っているのだ。もう一度、目的は何かを考えて、本当にその目的が達成されるルールになっているのかを検討すべきだろう。
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