2019.11.09

全国での実績ゼロも社会人で成長。
右腕2人が来年ドラフト候補に名乗り

  • 楊順行●文 text by Yo Nobuyuki
  • photo by Kyodo News

「すごくうれしい。みんなに助けられて、最後に優勝できました」

 11月4日に終了した社会人野球の日本選手権は、大阪ガスが初優勝を果たした。楽天からドラフト1位で指名された大阪ガスの小深田大翔(こぶかた・ひろと)は、日本生命との決勝戦に2番・ショートで出場し5打数1安打だったが、昨年の都市対抗に続いての日本一に涙した。

 小深田は「プレッシャーから硬さがあった」と振り返ったように、今大会は5試合で21打数5安打と苦しんだ。それでも橋口博一監督は「きっちり1試合1本は打つ計算。だからこそ、プロに行くんでしょうけどね」とコンスタントぶりを評価した。

入社1年目からエース級の活躍でチームを引っ張るトヨタ自動車の栗林良吏 一方、投げるほうで魅せたのが阪本大樹だ。Honda鈴鹿との初戦は、楽天6位指名の瀧中瞭太(たきなか・りょうた)との投手戦を制し1-0で勝利。決勝も1失点で完投し、4試合で計28イニングを投げて自責点はわずか2。防御率0.64で最高殊勲選手賞に輝いた。

 最速146キロながら、与四球5と制球よく多彩な変化球を投げ分けるのが身上だ。関西大卒の2年目。身長169センチと小柄ながら、中継ぎとしてならプロでも十分に通用するのではないか。

 阪本をはじめ、今回の日本選手権では来年のドラフト候補たちが躍動した。なかでもインパクト大だったのが、トヨタ自動車の栗林良吏(りょうじ)だ。初戦でクラブ選手権を制したマツゲン箕島硬式野球部を4安打完封、13奪三振の快投を見せた。

「初回から全力でいきました。1回にフォークを打たれたのが悔しくて(3番・夏見宏季にセンター前)……そのあとはストレート中心で押しました」

 初回。夏見のヒットで一死一、二塁のピンチを招いたが、後続の4番・岸翔太は150キロのストレート、5番・小邨義和には151キロのストレートで空振り三振に打ち取った。栗林は言う。

「1回のピンチがあったから、点をやらないように、余計に気合いが入りました。最後まで投げきれるとは思っていなかったので、うれしいです」