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甲子園春夏連続はなぜ難しい。
センバツ組が苦しむ「魔の2カ月半」 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 そんなムードのなか、5月の練習試合でまさかの大敗を喫してしまったという。

「試合が終わったあと『どれだけ怒られるんだろう』と思っていたら、監督はこう言うわけです。『お前ら、甲子園なんか目標にしているから、こんな小さい野球しかできないんだ! 甲子園なんて小さい。どうせ目標を持つなら、もっとデカいものにしろ。オレはお前たちが、どんな分野でもいいから、世界に通用するヤツになれるように野球を教えているんだ!』って。みんなひっくり返りましたよ(笑)。ちょっと前まで『甲子園、甲子園』って言っていた人がですよ。なんだこの変わり身は......と思いましたね。監督もどうしていいのかわからなかったのかもしれないですね」

 監督、選手をはじめチーム全員が再び同じ目標に向かって走り出すというのは、口で言うほど簡単なことではないのかもしれない。

 しかもセンバツ出場組は、相手チームから徹底マークにあい、どこか「勝って当たり前」と思われている節がある。そんななかで戦うプレッシャーはハンパない。これまで多くの番狂わせを演出してきた最大の要因でもある。

 昨年の大阪桐蔭のように、センバツで優勝し、夏も地方大会を勝ち上がり、甲子園でも優勝するような偉大なチームもあるが、実際は地方大会で1勝するだけでも大変なことである。センバツの余韻に浸ることなく、過密スケジュールをこなし、プレッシャーにも打ち勝たなければならない。並大抵のことではない。だからこそ、春夏連続出場を果たした11校には感服するしかない。

 負けられないプレッシャーから解き放たれた今、今度は甲子園で思う存分、野球を楽しんでほしいと切に願う。

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