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大阪桐蔭、履正社に大阪偕星が待った!
指揮官はぼやくけど自信あり (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

 迎えた夏、初戦は出場機会がなく、2戦目に3番・センターで出場となった。3戦目となる北野戦では先発のマウンドに上がり、この夏、初登板を果たした。しかし1回1/3、打者4人に投げたところで交代し、レフトに回った。一瞬、アクシデントかと思ったが、5回の守備ではレフトからホームにダイレクト返球で走者を刺殺。試合後、山本が「予定どおり。夏の初登板で、最近あまり投げていなかったので今日は軽く。ここからです」と言うように、コンディションに不安はないようだ。

 だとすれば、ここからどこまで状態が上がっていくのか。ひじの違和感から、しっかりと投げることができたのは5月に入ってから。夏前の練習試合でも数えるほどしか投げておらず、ぶっつけに近いかたちで夏を迎えている。とはいえ「坪井がきっちり投げられるか。この先はそこです」と言うように、坪井の出来にチームの命運がかかっていると言っても過言ではない。

 技術面と精神面の両方で最後の成長に期待を込めつつも、「まだ甘いんだよなぁ」とまたしても山本のぼやきは続いた。その姿を眺めていると、ひとりの選手のことを思い出した。

 4年前の主力で、現在は日本ハムでプレーしている姫野優也だ。当時の姫野は、坪井と同じく投打にたっぷりのスケール感を持ちながら、野球に集中しきれないところがあり、たびたび山本と衝突していた。一部の選手たちと距離ができた時期もあった。しかし最後に目覚め、徐々に山本、チームメイトから信頼を取り戻し、夏は投打でチームの大きな力となった。

 山本に姫野の話を向けると、こんな答えが返ってきた。

「たしかに、あのチームにとって姫野が最後のピースで、それが夏にはまった。ただ姫野は、春から夏に向かう段階で変化が見えていたけど、坪井はまだ見えてこない。感覚が新人類というか、何を考えているのかよくわからない(笑)。どこかでスイッチが入るのか、それともこのまま高校野球が終わるのか......」

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