2019.07.23

佐々木朗希が刺激を受けたチームメイト
2人の「自分なりのピッチング」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 敗れた久慈の柴田護監督は、清々しい表情で敗戦を受け入れ、こう語った。

「佐々木くんが投げられなくても、2番手、3番手をきちっと育てられたことは國保監督の手腕でしょう」

 7月22日の岩手大会準々決勝。大船渡は前日に延長12回、194球を投じた佐々木朗希を起用せず、2人の投手を登板させた。

準々決勝の久慈戦で先発した大船渡の背番号11・大和田健人 先発した背番号11の大和田健人は、國保陽平監督が前々から「大和田は最近調子がよくて、ボールにキレ、勢い、強さがあります」と語っていた存在だ。身長は佐々木より30センチも低い160センチ。小柄な体をうまく使いこなして、130キロ前後のストレートと変化球を丹念に低めに集めていくピッチングスタイルだ。

 久慈戦では立ち上がりから凡打の山を築き、前半5イニングを打者15人でパーフェクトに抑えた。久慈の柴田監督は「かなり低めに集めて丁寧なピッチングをしていたし、バッテリーの配球が上手で打たされていた」と振り返る。

 今大会3試合連続で2安打以上と打撃好調だった久慈の1番打者・熊谷龍一は、序盤の攻めを悔やむ。

「大船渡は誰が先発してくるかわからないけど、どんなピッチャーでも自分たちの力を出そうと話していました。でも、大和田くんは制球力がよくて、落ち着いていました。ストレートも球速以上の伸びを感じました」

 だが、大船渡が4点をリードした6回裏、一死から久慈に初ヒットが生まれて潮目が変わる。連打が出て一死一、二塁で打席に入った1番・熊谷は「なんとか自分が打って流れを持っていこう」と気持ちで振り抜き、右中間を破る2点タイムリー三塁打。さらに7回には大船渡守備陣のミスが絡み、久慈はさらに2点を返して4対4の同点に追いつく。

 試合の流れが久慈に傾きかけたなか、8回裏から2番手として登板したのが、背番号10の和田吟太である。

「チームとして甲子園に行きたいという気持ちでやってきたので、朗希が投げないなかで頑張って勝ちたいという気持ちで投げました」

 今大会初登板だっただけに立ち上がりは緊張したというが、8回に1番の熊谷から始まる上位打線を打者3人で抑え「そこから緊張はなくなった」という。延長11回までの4イニングを投げ、被安打1、無四球、無失点とすばらしい投球だった。