指導の軸は山本昌の教え。元中日の辻孟彦はコーチにやりがいを見つけた
日体大・辻孟彦コーチの教え(後編)
2014年に25歳の若さでプロ野球を引退し、翌年から母校・日体大のコーチに就任した辻孟彦(たけひこ)。昨年秋は明治神宮大会優勝を果たし、就任4年目となった今秋はドラフト会議で松本航が西武から1位指名を受け、東妻勇輔もロッテから2位指名。さらに大学4年時に1年だけ指導した大貫晋一(新日鐵住金鹿島)もDeNAから3位指名されるなど、教え子3人がプロの世界に羽ばたいていくことになった。
2015年から日体大のコーチとして指導にあたっている辻孟彦 こうした充実の時を迎えるまでには、プロでの経験を生かし、それぞれの個性に合った指導をするというのは前編で触れたが、辻の現役時代に黄金期を迎えていた選手たちからも多くのことを学んだ。
「プロの世界には"野球はできるけど、ほかのことはテキトー"という人が結構いるんです。でも、35歳とか40歳までやっている人を見ると、ロッカーもきれいですし、計画性もあって、きちんとされているんですよ」
そう語る辻は、50歳まで現役を続け、通算219勝を挙げた山本昌(元中日)に、とくにかわいがってもらった。
「(山本)昌さんはレジェンドなんですけど、自主トレの時によく教えていただきました。正直、僕なんかと接してもプラスになることなんてそんなにないと思うんですよ。それでも昌さんは全体練習が終わるのを待って、僕に教えて下さった。いつも気にかけてもらっていました」
戦力外通告を受け、現役引退を決めた2014年の納会であいさつした時のことを今でも鮮明に覚えている。
「『何もしてやれなくてごめんな』というような第一声から始まり、そこから30分近く話をしていただきました。プロの一軍の試合で投げられたことより、昌さんとキャッチボールしたり、いろんなことを話していただいたことが何よりも価値があったんじゃないかなと思います」
だからこそ、これからプロの世界に進む3人の選手にも「昌さんのようなプロ野球選手になってほしい」と願う。
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