2018.11.23

野村祐輔らが明かす、しびれる3年間。
広陵OBは修行を経て成長する

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

星稜戦のコールド負けも「いい経験」

 今秋、11年ぶりに中国大会を制し、神宮球場に乗り込んだ広陵(広島)にとって、明治神宮大会は悔しい結果になった。大会ナンバーワン投手で、来年のドラフトの目玉と目される星稜(石川)の奥川恭伸に11三振を奪われ、3安打完封。守備でも初回からエラーが続出し、0-9で7回コールド負けを喫した。

 しかし、2度の全国優勝経験を持つ中井哲之監督は、屈辱的な敗退にもサバサバした様子だった。

「中国大会で勝つために西純矢くん(創志学園)の真っ直ぐを打つ練習をしてきたので、ストレートには対応できたんですが、131キロのフォークボールを投げられては……。現時点ではお手上げです。奥川くんは変化球でストライクを取れる。ボールの速さでは西くん、ピッチングの精度では奥川くんが上でしょうね」

 しかし、すぐにこう続けた。

「こういうピッチャーを打たないと全国では勝てない。接戦で負けるよりも、いい体験になったかもしれません。広陵が全国大会でコールド負けしたということをよく考え、『あの負けがあったからセンバツに勝てた』と言えるようにしたい。選手たちとコミュニケーションをとって、一日一日を大事にしたいです」

 確実視される来春のセンバツ出場に向けてチームの立て直しを誓った。「奥川対策」を練ったうえで、甲子園に戻ってくるはずだ。

中井監督が「3年間は男の修行」と語る厳しい生活

 甲子園出場が義務づけられる強豪校のなかでも、広陵野球部の練習はとくに厳しいことで知られている。まとまった休日は正月休みだけ。学校の敷地から出ることはほとんどなく、選手たちは教室、グラウンド、寮を行き来する生活を送る。100人を超える部員が、ベンチ入りの20人(甲子園では18人)を目指して切磋琢磨している。

広島大会の決勝でサヨナラ勝ちを収め、今夏の甲子園に出場した広陵の選手たち 中井監督はこう言う。

「高校3年間は、修行でいいんじゃないですか。今しかできないことが、いずれ役に立つと思います。うちで修行したら人間としても成長できる。高校を卒業してから野球を続けない子も、違う分野で活躍しています。

 大好きな野球を通じて、どこに行っても耐えられる力をつけさせたい。甲子園という大きな目標があって、そこに向かって歯を食いしばって頑張ることで生きる力がつく。こんなにいいスポーツはないと思います」