「浜高の野球で勝て」。兄の想いを胸に、
和田毅の弟が古豪復活に挑む

  • 井上幸太●文・写真 text&photo by Inoue Kota

 島根県立浜田高等学校――春夏合わせて15回の甲子園出場を誇り、現在、楽天を率いる梨田昌孝監督をはじめ、多くのプロ野球選手が輩出している島根県有数の名門校だ。地元では「浜高(はまこう)」の愛称で親しまれ、毎年のように県大会の上位に名を連ねる強豪だが、2004年夏の出場を最後に甲子園から遠ざかっており、全国的に見れば「古豪」に分類される存在となっている。

 その「古豪復活」を託され、2016年春から浜田高の指揮を執るのが和田誉司(わだ・たかし)監督。端正な顔立ち、和田という苗字......。ピンときた読者もいるかもしれない。そう、ソフトバンクに所属する和田毅投手の実弟である。松江商高で8年間監督を務めた後、兄、そして自身の母校でもある浜田高の監督に就任した。

2016年の春から浜田高校野球部の指揮を執る和田誉司監督2016年の春から浜田高校野球部の指揮を執る和田誉司監督 兄・毅とは3学年違い。3年夏に甲子園ベスト8の実績を残した兄と入れ替わるタイミングで浜高へと進学した。

「僕が中学生のときにも甲子園に出ていて、『浜高に進んだら甲子園に行ける』と思っての進学でした。卒業後に大学でも野球を続けたいと思っていたので、進学校という点にも魅力を感じていました」

 兄と同じ進路を歩むなかでつきまとうのは、やはり「兄との比較」だろう。当然、現役時代にはそのような場面に出くわした。

「やっぱり高校生のときは単純に嫌だなと思ったりもしました。でも、いま思うと先輩にすぐ名前を覚えてもらえたり、得する場面も多かったです。指導者になってからも『和田の弟か!』と初対面の方との壁を取り払うきっかけになったりもしているので、助かっていますね」

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