メチャクチャ打つけど投げられない。西川愛也にドラフト指名はあるか (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 新チームとなり、秋は県大会準優勝を果たし、関東大会に出場するも初戦敗退。このタイミングで11月に患部を手術した。ただ、ここから一気に回復速度が上がったわけではなく、筋肉がくっつくまで、とにかく時間を必要とした。

 そしてある程度くっついたところから、今度はゴムチューブや2キロのダンベルなどを使い、強さと柔軟性を取り戻すトレーニングを地道に重ねてきた。

 今後の見通しについて、岩井隆監督は「信頼できる医師も『関節ではないので休めば治る』と言っています。だから、時間が経てば治ると信じていますし、スカウトの方から状況を聞かれたら、そう答えさせてもらっています」と話す。

 西川もこう語る。

「『リハビリをちゃんとすれば治る』と言ってもらっているので、これまでも信じてやってきましたし、これからもやるだけです」

 こうしたリスクを抱えながらも、スカウトたちに獲得への可能性を探らせるのが西川であり、そのバッティングである。

 トップモデルとして浮かぶのが、同じ姓を持つ西川遥輝(日本ハム)だ。体型的なものもそうだが、何より近いのがスイングで、振り出しが早く、バットが体の近くを通り、金属バットが木製のようにしなって見える。フォローで左手を離せないにもかかわらず、最後まで体の開きを我慢し、広いインパクトゾーンで緩急にもしっかり対応する。低い打球で広角に打ち分け、時には豪快な一発も放つ。まさに智弁和歌山時代の西川遥輝のバッティングを見ているようだ。

「確かに動画で見ると、西川さんと体格も同じ感じですし、バッティングも似ているなと思うことはあります」

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