自らを鼓舞する「清宮語録」に見る、1年生からプロ決断までの2年半
9月22日、早稲田実業の清宮幸太郎が会見を開き、プロ野球の道に進むことを表明した。
9月10日に終わったU-18ワールドカップ(W杯)では、「まだ何も考えていない」と話していたが、本人の中ではすでに固まっていたのだろう。開催地のカナダから帰国した直後、家族会議を経て、学校関係者らにこの決断を伝えたという。
高校入学当初は、「早稲田大進学」が基本線だった。だが、2年半の時を過ごすなかで、気持ちはプロに傾いていった。
「(高校1年生の時と、3年生の時の)2回、高校日本代表に選ばれ、甲子園にも(2回)出場し、本塁打の記録を更新したこと......ひとつひとつ、いろんなステージを踏むことで、プロの世界も見えてきた」
9月22日に会見を開き、プロ志望届を提出することを明かした清宮幸太郎 会見では、将来のメジャー挑戦を視野に入れていることを公言し、さらに高校の先輩である王貞治氏の本塁打数「868」という大きな数を目標に掲げた。
「868本を目指せるような選手になりたい。先輩ですし、むしろ目指さなきゃいけないという使命感がある」
清宮には白球を遠くに飛ばす能力だけでなく、大勢の報道陣に囲まれていようとも、自身を客観視し、その日、その時、何を考えて、何を学んだのかを具体的に言葉にできる能力も備えていた。だからこそ、高校野球ファンと報道陣の心を掴んできたのだ。清宮の2年半の歩みを、彼が発した言葉とともに振り返ってみたい。
2015年4月に早稲田実業の中等部から高等部へと進学した清宮は、当時、座右の銘に「自分に同情するな」という言葉を挙げていた。
「これぐらいでいいとか、こんなんでいいやとか、自分に妥協したり、同情してしまうと先には何もない。そのような意味にとらえて、大切にしています」
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