2017.08.18

彦根東と東筑の甲子園。公立進学校は
どんな「野球と勉強」をしたのか

  • 清水岳志●文 text by Shimizu Takeshi
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 公立高校の出場数が今大会は過去最少(8校)となった。公立校の中でも伝統を誇るのが、いわゆる"ナンバースクール"だろう。今大会でいえば、この2校がそれに該当する。

 1798年に藩校として始まって、1899年の中学校令によって滋賀県第一中学校となったのが今の彦根東。1898年に開校、福岡県で第一号の県立中学となったのが今の東筑だ。

 初日に登場したこの両校は、各界に多くの人材を輩出してきた進学校でもある。こういう公立の進学校が野球で甲子園に出場するのは、極めて難しい時代であることは説明不要だろう。

開幕戦でサヨナラ勝ちし、誇らしげに校歌を歌う彦根東の選手たち 強豪私学のような専用グラウンドなんて、ある方が珍しい。勉学重視で練習時間は少ない。それでも野球はやりたい。その両方をきわめるために、どうやって日々取り組んできたのか。

 勝敗の結果から言うと、彦根東は開幕戦を9回逆転サヨナラで勝ち、東筑は3ランと2ランの2本のホームランを浴びて力負け。明暗が分かれた。

 開会式直後の第1試合、彦根東は2年生エースの増居翔太が粘りの投球で完投したのが大きな勝因だ。「気持ちのこもったいいピッチングだった」と村中隆之監督は絶賛した。その陰の立役者がキャッチャーの條野正宗だった。

「うちはキャッチャーの子が賢いんでしょう。2年の増居をよくリードしました。打者をはぐらかしてピッチングを組み立てることができる。観察力が鋭くて説明することもできる。こういうことをやったらどうなるのかと、試行錯誤もします。増居はサインに首を振らない。理解力がお互いに高い。普段からそういう野球なんです」とは松林基之部長の評だ。