なぜ今夏の甲子園はボールが飛ぶのか。
本塁打増を解明する3つの仮説
大会5日目の朝、甲子園球場内の通路で顔を合わせた日本ハムの芝草宇宙(ひろし)スカウトは、「ホント、今年は飛びますねぇ」と苦笑いを浮かべた。同じく甲子園で観戦していたソフトバンクの永山勝スカウト部長も、「いやぁ、飛びます。投手は大変ですよ」と今大会の印象を語った。
2回戦の津田学園戦で2打席連続本塁打を放った済美の亀岡京平 今年の夏は活発な打力を見せるチームが目立ち、ひと際目を引くのが本塁打の多さだ。49代表校がすべて出揃った大会7日目の第3試合終了時点で、本塁打数は35本。この数がいかに多いかは、ここ10年間の大会全体での本塁打数を見れば明らかだ。
2007年 24本(49試合)
2008年 49本(54試合)
2009年 35本(48試合)
2010年 26本(48試合)
2011年 27本(48試合)
2012年 56本(48試合)
2013年 37本(48試合)
2014年 36本(48試合)
2015年 32本(48試合)
2016年 37本(48試合)
ちなみに、99回を数える夏の甲子園の歴史のなかで最も多くの本塁打が飛び出したのが、2006年の60本(49試合)である。
2006年といえば、斎藤佑樹(日本ハム)がエースの早稲田実業と田中将大(ヤンキース)を擁する駒大苫小牧が決勝再試合の名勝負を繰り広げ、準々決勝では智弁和歌山と帝京が両チーム合わせて7本の本塁打が乱れ飛ぶ壮絶な打ち合いを演じた"あの年"だ。
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