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なぜ今夏の甲子園はボールが飛ぶのか。
本塁打増を解明する3つの仮説 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 それまで最多47本(1984年/48試合)を大幅に塗り替える記録に、大会中から様々な角度で"飛びの理由"が検証された。

 まず、2001年から導入された新規格バット(打高投低への歯止めや、投手に打球が当たる危険性などを考慮し、最低重量を900g以上に定めたもの)への適応を挙げる声がいくつかあった。れまでより重いバットを扱うためによりいっそうのトレーニングや振り込みに励んだ結果、打球が飛ぶようになったというわけだ。打撃力の向上と各選手のパワーアップが60本塁打の下地にあったのは確かなのだろう。

 そして今年の本塁打量産も、この延長戦上見る向きは当然ある。オリックスの内匠(たくみ)政博スカウトは次のように語る。

「今大会を見て感じたことは、シンプルに打撃が力強い。思い切りよくバットを振って、バッティング技術も上がっているからホームランが増える。それが一番の理由じゃないですか。試合を見ていると、内野守備の粗さが目立ちますが、これも普段の練習で守備よりも打撃に時間を割いているチームが増えたからじゃないですかね」

 日本のプロ野球を見ていても、柳田悠岐(ソフトバンク)、吉田正尚(オリックス)、浅村栄斗(西武)ら"フルスイング"が代名詞となっている選手の活躍も目立つ。近年の野球スタイルの流れも、今大会の本塁打増に何かしらの影響を与えているのかもしれない。

 また、ある出場校のコーチは投手のレベルを指摘する。

「今年はプロのスカウトやマスコミが大きく注目するような投手がほとんどいません。投手の力量の問題が大きいと思います」

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