あの大阪桐蔭にも弱点あり。
「勝ちパターン」に見る注目校の戦い方 (5ページ目)
今大会にも出場する、甲子園通算63勝32敗の智弁和歌山・高嶋仁監督は、智弁和歌山に移ってからの85試合で先攻が58試合(39勝19敗)、後攻が27試合(17勝10敗)と完全な先攻型だ。高嶋監督が先攻を取るようになったきっかけは、まだ智弁学園の監督だった1976年の秋の近畿大会。
「県和歌山商とやって、2対0でずーっといった。2対0で終わっとったら県和商も甲子園に出れとった。それが、9回表にウチが3点取って5対0になったことで、『一方的な試合』とセンバツに出れんようになってしまったんです。ウチが後攻なら9回裏の攻撃がないから2対0のままやった。逆に考えれば、先攻なら、勝っても負けても9回打てるわけ。これはやっぱり大きい。そこから先攻の方がええなと思うようになりました。先に点も取れますしね」
取手二、常総学院(茨城)で全国優勝3度の木内幸男監督はこう言っていた。
「まず、じゃんけんから始まんだよ。監督にはプランがあっから」
ときには散歩をしながら、ときにはサウナに入りながら、試合前からあらゆる展開を予測してプランを立てるのが監督だという。プラン通りに進めばいいが、その通りにいかないときこそ大きな知恵の見せどころ。劣勢に立たされたときに、どんな作戦を採るのか。そこには必ず性格が出る。先攻、後攻の選択から、監督のプランや性格、さらには心の中を読みながら試合を観る。それもまた、高校野球の面白さなのだ。
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