あの大阪桐蔭にも弱点あり。「勝ちパターン」に見る注目校の戦い方 (4ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

 平元銀次郎、中村奨成の高校日本代表候補バッテリーを擁して評判の高い広陵(広島)の中井哲之監督は甲子園通算2713敗。先攻が28試合、後攻が12試合と先攻型だが、成績は先攻19勝9敗、後攻8勝4敗とどちらでも強さを発揮している。先制点を挙げると20勝5敗、先制されても7勝8敗と5割近い数字を残している。

 清水達也、西川愛也と投打にプロ注目選手を擁する花咲徳栄(埼玉)の岩井敬監督は、甲子園通算8勝8敗1分。先攻で4勝5敗、後攻で4勝3敗だが、一昨年から先攻型に変更。15年春以降の甲子園7試合中6試合が先攻。今夏の埼玉大会も4回戦以降の5試合はすべて先攻だった。先制点を挙げると5勝2敗、先制されると3勝6敗。先攻で先制点が勝ちパターンだ。

 140キロ以上の速球を持つ投手が4人いる前橋育英(群馬)の荒井直樹監督は甲子園通算7勝3敗。先攻で3勝2敗、後攻で4勝1敗とどちらも勝ち越しているが、先制点を挙げると5勝0敗、先制されると2勝3敗。守りでリズムを作ってから先制点が勝ちパターンになる。

 この他の注目校では、横浜(神奈川)、中京大中京(愛知)などが挙げられるが、横浜・平田徹監督、中京大中京・高橋源一郎監督はともに2度目の甲子園。全国大会での戦い方の傾向が出るには試合数が少なく、もうしばらくの時間が必要だ。

 ただ、横浜は神奈川大会で昨夏14本塁打、今夏も増田珠の5本塁打を筆頭に合計14本塁打をマーク。渡辺元智監督、小倉清一郎コーチがコンビを組んで夏の甲子園に出場したのは10度あるが(94~13年)、最多はセンバツで優勝した06年夏の10本。08、11年には0本だったことを考えれば、大きく増えている。

 一方で、三振は昨夏25個、今夏49個。渡辺・小倉体制では最多でも01年の25個だったのと比較するとかなり多くなっている。のびのび打たせることで長打は増えたが、その分、粗さが目立つようになった。同じ横浜でも、野球は変わっている。

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