明徳義塾・馬淵監督が詳しく語る「松井の5連続敬遠と清宮への対策」 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tamigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 抽選会のときよりも、清宮を語る言葉に強さを感じた。その自信に満ちた表情は、「清宮対策は完成した」と言わんばかりであった。

「まあ、いろいろ考えとるよ。状況によって敬遠はあっても、極端なことはせんよ。清宮くんは遠くへ飛ばすテクニックを持っている。普通のバッターならライトオーバーのところが、彼はホームランになる。たしかに逸材です。でも、優勝候補と言われるチームのクリーンアップなら、甘い球をホームランにする力はあります」

 さらに馬淵監督は、具体的に明かすことはなかったが「弱点はある」と言った。本当に清宮の弱点を発見したのか、それとも心理戦の始まりか......真相はわからない。ただ、馬淵監督は「思い通りにならんのも野球なんよ」という言葉を繰り返した。対策は万全であっても、すべてがうまくいくとは限らない。ましてや甲子園での試合、しかも相手は清宮擁する早実だ。

「早実見たさにたくさんのお客が入るやろうし、独特の雰囲気があるやろうね。選手には『自分らの応援やと思ってやれ』とは言うけど、実際にどれくらいのものなのか......」

 たとえば、明徳義塾リードで迎えた終盤、打席に清宮が立ったとき、球場は異様な雰囲気に包まれるだろう。そのときに選手たちは平常心でいられるのかどうか。それでも馬淵監督は「ワクワクするわ」と言い残し、その場を去った。

 そういえば昨年の夏、準決勝で作新学院に敗れたときも、神宮大会の敗戦後も、馬淵監督は「センバツで優勝する」という言葉を残していた。自身30回目となる甲子園で、通算50勝まであと2勝。様々な節目のある大会の、初戦で今大会大注目の早実。どんな戦いになるのか、注目したい。

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