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スカウトも困った「投打の能力」。
東邦・藤嶋健人の適性はどっちだ? (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 東邦の指導陣には、藤嶋にとって「師匠」とも言うべき存在がいる。それは日本ハムなどプロで7年間プレーした木下達生コーチだ。木下コーチは時に動画を撮影して藤嶋とフォームについて会話をしたり、投球術について指導することがあるという。

 木下コーチに普段どのような指導をしているのか聞いてみると、「野球はあらかじめ動きが決まっていることが多いので......」と意外な角度から投球論が始まった。

「野球は止まった状態から動作を繰り返すので、あらかじめ想定できるプレーが多いんです。対戦するなかでバッターの動きをちょっと見れば、わかる部分も多い。藤嶋はそういう部分に興味を持ってくれたので、これまで一緒にやってきました」

 藤嶋の投手としての非凡さのひとつは、「打者の顔色を見ながらピッチングができる」ことだろう。ただ捕手のサイン通りにミットを目がけて投げるのではなく、打者との間合いを感じながら、有機的に投球を組み立てられる。木下コーチは藤嶋のこうした感性を「怪物と言っていい」と話す。

「僕はピッチャーでもバッターでも、本人がやりたいほうをやればいいと思っています。でも、ピッチャーとしての能力は非常に高いですよ。僕もプロに行ってみてわかりましたけど、球が速い人はいっぱいいるんです。でも、テクニックも持っている人というのは意外と少なくて、これも持って生まれたものなんだなと思いました。藤嶋はピンチになったらギアを上げるところとか、いいピッチャーの共通点をすでに持っています」

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