元駒大苫小牧・香田監督が明かす「甲子園で勝つための戦い方」 (2ページ目)

  • 中村計●文 text by Nakamura Kei
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

 香田は「甲子園の戦い方と、北海道の戦い方って、違うんだよ」と話す。

「甲子園だから、ああいうドラマチックなことが起きる。地区予選で、あんな逆転劇、やったことないもん。甲子園は、観衆の力をいかに味方につけるか。北海道のチームだったから、好んで応援してくれたというのもあったと思うよ。雰囲気をつくってくれた。北海道では、うちが負けるのを観に来ている感じもあったから。人気のある伝統校とやるときは競ったらあやしくなる。だから、点は取れるだけ取ってやれという感じだったね。甲子園とは逆の感じだったな」

 高校生は本当に些細なことでテンションが上がったり下がったりするものだ。香田はそのことに誰よりもデリケートだった。

「いかに小さなことを見逃さないかだよね。それで、言うときは言うし、言わない方がいいときは言わない。もしくは、時間が経ったら、言うとかね。そのあたりは、細心の注意を払ってたよ」

 関東を代表する強豪私学の監督が、こう話していたことがある。

「甲子園に出ると、ホッとしちゃう自分がいる。プレッシャーを感じるようでないと、まだまだですよね」

 しかし、香田はそれを逆に利用した。香田は甲子園では絶対に怒らなかった。

「甲子園は、あいつらのもんだから」

 地方大会で重圧を感じていたぶん、甲子園では解放し、弾けさせた。

 香田が率いていた時代の駒大苫小牧の強さの秘密の核心に触れたと思った瞬間がある。

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