元駒大苫小牧・香田監督が明かす「甲子園で勝つための戦い方」
勝つことは、本当に難しい......。
今年も地方大会の報道を見聞きしながら、それを痛感した。
それもそのはずで、トーナメント方式である以上、勝ち残ることができるのは1チームしかない。それ以外のチームは、どこかで必ず敗れるのだ。
が、十年ほど前、そんな難しさを感じさせないほどに、勝って、勝って、勝ちまくったチームがある。
南北海道代表の駒大苫小牧である。
04年から3年連続夏の甲子園決勝進出を果たした駒大苫小牧の香田監督(写真右から2人目) 03年から07年まで、南大会史上初となる夏5連覇を達成。04年から06年までは甲子園の決勝に進み、優勝、優勝、準優勝を果たし、「雪国は勝てない」という定説を覆(くつがえ)した。
当時の監督は、香田誉士史(こうだ・よしふみ/現・西部ガスコーチ)だった。現在は、04年に初めて日本一になったときの主将・佐々木孝介が、後を継いでいる。
今年も下馬評では有力視されていた駒大苫小牧だったが、南北海道大会の初戦で姿を消した。08年春に香田が去ってからの駒大苫小牧の甲子園出場は、14年春の一度にとどまっている。
(香田さん、見せてくださいよ――)
そう思った。
どうやったら、勝てるのか。
往時の駒大苫小牧は、地方大会で、格下に足もとを掬(すく)われるようなことは絶対になかった。そして甲子園の舞台で格上とぶつかれば、普段以上の力を発揮し、接戦に持ち込んだ。あるいは、05年夏の準々決勝で鳴門工業に8回表を終えた時点で1-6と負けていたにもかかわらずそこから逆転勝ちしたゲームや、06年夏の3回戦で青森山田に最大6点差をつけられながらもひっくり返したゲームが象徴するように、甲子園では、信じられないような大逆転劇を何度も演出した。
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