大阪桐蔭、浦和学院......なぜ「番狂わせ敗退」は起きたのか? (4ページ目)

  • 安部昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 最初の1、2点はよいとして、3点取っても、4点取っても、ひたすらバントで送り、大量点が奪えるかもしれないチャンスを逸してしまう。指導者の方がきまじめな性格の時に、こういうことが起きることがある。

 格下の相手が、文字通り<捨て身>や<やけくそ>で正面突破のフルスイングで攻めてくる場合、意外な大量失点を食らって、大事に取った3点、4点を一気に吐き出してしまう。こういうケースだ。

 どんな強豪校でも、初戦は不安の塊になっている。「きちんと段取りを踏んで......」というその精神は悪くはないが、攻め方をあまり固めすぎてしまうと、強豪校らしい攻めの<ダイナミズム>を失うことになる。

 最後に、私のささやかなる高校野球監督生活の中で、たまたま見い出した<秘策>を1つ、披露させていただこう。

 どんなチームにも「得意ワザ」がある。その相手の得意ワザで攻めるのだ。たとえば、"機動力"を得意とする強豪校を敵にまわすときは、こちらも足を使い、盗塁やエンドランなどでかき回してみると、相手は戸惑って、オタオタしてくれることが多々あった。

 こちらにそれほど俊足のランナーが揃っていなくたって構わない。とにかく、動くことだ。

 普段、自分がやっていることを相手にやられてしまう違和感。それは間違いなく「ある!」という反応を、当時、多くの指導者からいただいた。

 しかし、いくら考えても、その理由が解き明かせなかった。そして、今もわからない。数十年考えても、それでもわからない理由。しかし、現象としては間違いなく「あった!」のである。

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