2016.07.23

初出場「きらやか銀行」が都市対抗で起こした創部65年目の奇跡

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 社会人野球のビッグイベント・都市対抗野球大会で大きな番狂わせが起きた。50回の出場回数を誇る名門・パナソニック(門真市)が、初戦で初出場のきらやか銀行(山形市)に敗れたのだ。

 9回につかまったもののパナソニック打線を8回まで完璧に封じ込んだ、きらやか銀行のエース・小島康明(おじま・やすあき)は試合後にこう語った。

「パナソニックよりも大勢の応援団が来てくださって、すごく力になりました。地元の応援あってのきらやか銀行なので。まだ実感は沸かないですが、勝ててよかったです」

初出場ながら初戦で名門・パナソニックを破ったきらやか銀行ナイン きらやか銀行は山形相互銀行時代の1952年に創部された歴史のあるチームだが、東京ドームにやって来たのは創部65年目にして初めて。東北予選 では大卒2年目の小島や、大卒3年目の巨漢スラッガー・建部翔太(たてべ・しょうた)など、若い力の活躍によって東北第1代表の座を勝ち取っている。

 そして、パナソニック相手の好投の要因について報道陣から聞かれた小島は、あることを打ち明けた。

「梅津さんのデータ通りの打線だったので、僕はその通りに投げるだけでした。梅津さんのおかげです」

「梅津さん」とは、コーチでもデータのアナリストでもない。背番号24をつけた外野手、梅津拓也(うめつ・たくや)のことだ。東北高時代はダルビッシュ有(レンジャーズ)と同期で、甲子園には背番号17でベンチ入り。仙台大を経て今年で入行8年目、30歳を迎える。梅津はチーム最年長の選手でありながら、今年から対戦相手のデータ分析をも担っている。