2016.07.24

早実・清宮の夏を終わらせた八王子「100キロのストレート」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

「清宮は全打席歩かせるつもりでした」

 そう打ち明けたのは、5回戦で早稲田実業に敗れた国士舘の捕手・松澤龍樹だ。

「1 打席目の初球は小手調べの意味合いもあってインコースを突きましたが(結果は死球)、あとは全部外のボールゾーンに構えていました。ピッチャーの深澤(史遠/2年)のボールはシュート回転するので、外にシュートするボール球を引っ掛けてくれたらいいな、という気持ちでいました」

西東京大会の準々決勝で敗退し涙ぐむ早実・清宮幸太郎 高校2年の夏の時点で、清宮幸太郎は相手捕手にここまで言わせる打者に成長していた。そして驚くべきは、「全打席歩かせるつもり」のバッテリーに対して、清宮はライトスタンドにホームランを放り込んでいることだ。

「ホー ムランの打席は深澤のボールがいつもよりも指に掛かった分、シュート回転せずにスーッと入ってしまいました。でも、そのボールを見逃さないのはすごいし、想像以上のバッターでした。去年、東海大菅生の勝俣さん(翔貴/国際武道大)とも対戦しているんですけど、勝俣さんはまだ粗さがありましたが、清宮はミスショットをしない。自分の間(ま)で呼び込んで、確率の高いバッティングをすると思いました」(松澤)

 今夏、清宮は強烈なマークに遭いながらも結果を残してきた。準々決勝までの4試合で10打数6安打3本塁打7打点、打率.600。四死球を7も記録しているところに、各校の警戒ぶりが透けて見える。

 主将で1番・遊撃手の金子銀佑も打撃好調、清宮の後を打つ1年生強打者・野村大樹も2本塁打と高い能力を発揮した。課題と見られた投手陣も、エースナンバーをつけた吉村優が打たせて取る投球で開眼。2年連続甲子園出場に向けて、早実は快調にひた走っていた。