早実・清宮の夏を終わらせた八王子「100キロのストレート」 (4ページ目)

　しかし、この「清宮シフト」をあざ笑うかのような出来事が起きたのは、３回表に回ってきた２打席目のことだった。初回に続いて金子に安打を許し、 一死二塁の場面。当初は「勝負しないつもりだった」（細野）という八王子バッテリーだったが、二塁走者の金子が三盗に失敗して走者がいなくなり、「勝負」 に切り替えた。

「インコース高めにボールになってもいい......というつもりでストレートを要求したら、早乙女がリリースで少し引っ掛けて、真ん中低めに来ました。見逃せばボール球だったと思うのですが、そこから清宮のバットが出てきて......。『これを打つか！』とビックリしました」（細野）

　鋭いライナーは「清宮シフト」の狭まった右中間を抜けていった。細野は「ホームランじゃなくてよかった」と胸をなで下ろしながら、あらためて清宮の恐ろしさを目の当たりにした。

　０対０のまま迎えた５回表二死一塁での清宮の３打席目は、４球連続外に大きく外す実質的な敬遠。すると、八王子バッテリーは続く４番・野村にセンターオーバーのタイムリー三塁打を浴び、２点を失った。

　 ところが、均衡が破れて潮目が変わったのか、ここから早実の不安要素が一気に噴出する。４回まで好投していた早実先発・吉村が突如崩れ、無死満塁のピンチを招くと、２番手の服部雅生（２年）にスイッチ。しかし、服部は本来のボールの力がなく、３安打を浴びてこの回一挙５点のビッグイニングになった。６回裏 にも早実３番手・石井豪（１年）から１点を奪い、八王子のリードは４点に広がった。