長島三奈の名場面「甲子園がひとつになった決勝再試合」 (3ページ目)
試合内容だけでなく、その練習の質と量、言動も規格外だった。
「マツの第一印象は華奢な子だな、この子が選抜の優勝投手なのって。でも、練習を取材させてもらうと、本当にすごかった。夕食後、スポーツジムで筋トレしながら、ナイターを見ている。そこで、プロの配球をズバズバと言い当てていくんです。夜11時ごろからは、タオルを持って、シャドーピッチング。これが12時を過ぎても終わらないんです。『えっ、高校球児って、日をまたいで、練習していいの?』スタッフ一同、驚きました。また、本大会でひとつ勝った後、取材に行くと『あと5つ勝たなくちゃ、いけないんですね』と、もう優勝を逆算している。投球だけじゃない、フィールディングやけん制も抜群にうまかったし、“野球脳”もあったし、気持ちも強い。キャスター1年目、もうすごすぎて、すごさがわからなかった(笑)。でも、いま思うと100年に一人の逸材だったかも、高校球児ではなく、完成された野球選手だったなと思います」
三奈さんオリジナルの選手年鑑。写真には選手のあだ名が 油性マジックで書き込まれている 台風で水入りがあったが、今年も熱戦が始まった。最後に見どころを聞いた。
「今年は劇的な展開で、地方予選を勝ち上がってきたところが多いでしょう。『自分たちはやれる』と自信をつけたチームは強いですよ。さらに、初出場校も多いから、いろいろ起こりそうな気がしてます。“がばい”の佐賀北も出るし、夏には確実に仕上げてくる大阪桐蔭も注目だし……。やっぱり見どころは全部。毎試合です。まとめられなくて、すいません。もし、甲子園に行く機会があったら、グラウンドだけでなく、ベンチや応援席にも目を向けてください。ダイヤモンドがいろいろなところに落ちていますから」
長島三奈
1991年、テレビ朝日入社。スポーツ局の記者として、サッカーJリーグや水泳、ゴルフを取材。1998年から、夏の全国高等学校野球選手権大会のダイジェスト番組『熱闘甲子園』でメインキャスターを務め、高校野球取材に携わる。昨年の大会を最後に、キャスターを退くが、現在もフリーの記者として、全国各地で高校野球を取材している
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