【高校野球】夏の甲子園こぼれ話。
本塁打量産のワケと上位進出のカギを握った右打者
この夏、4本のホームランを放った光星学院の4番・北條史也 大会史上2位となる56本塁打(ランニング本塁打2本を含む)が乱れ飛んだ第94回選手権大会。史上最多となる先頭打者本塁打が5本も生まれ、決勝戦でも本塁打が決勝点となった。昨年の27本塁打から倍増。なぜ、ここまで急激に本数が伸びたのか。
2010年に春夏連覇を達成し、今大会はテレビ解説を務めた興南の我喜屋優(がきや・まさる)監督は言う。
「食事もいいし、トレーニング方法も発達してきて、今の高校生は昔の社会人みたいになってきている。本塁打数は金属バットを使っていた頃の都市対抗並みでしょう。トレーニング器具も進歩し、150キロだって打てる。それとウチが春夏連覇を達成した時に(1日)1000スイングしているのが話題になったけど、今はどこやっていると思いますよ」
48試合で56本塁打だから1試合平均1.2本。1試合に3本塁打出た試合が8試合、浦和学院対聖光学院戦では4本の本塁打が飛び出した。時代とともに、体格がよくなり、筋力がつき、技術も向上しているのは間違いない。だが、それだけでは昨年からの急増の理由にはならない。では、その他の理由は何なのか。今年の甲子園を観た我喜屋監督は、こうも言っていた。
「空気が乾いているとボールが飛ぶんだよね」
空気が乾燥しているとボールが飛ぶ――実は、常総学院の木内幸男前監督も全国制覇を達成した2003年夏に同じことを言っていた。準決勝での試合後、走者三塁でスクイズをせずに強攻策に徹した理由を問われた時、次のように語っていたのだ。
「ホームランが前の試合(準決勝の第1試合)で2本出ていますから。(風が)フォローかなと思ってみたら、それほどフォローじゃないんですよ。それでもホームランが出るってことは、空気が乾いている。空気が乾いていると、ボールが飛ぶんですよ」
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