【自転車】前半戦総括。片山右京が語る「TeamUKYOの成熟度」 (4ページ目)
TeamUKYOが全体として分厚い戦力を存分に発揮した――という意味では重要な一戦で、この勝利によって勢いを引き戻した彼らは、広島で開催された第11戦・西日本ロードクラシック(第10戦の広島タイムトライアルは悪天候のため中止)での畑中の優勝と、第12戦・石川サイクルロードレースでのプジョル優勝という強さにつながっていく。
そして、第13戦の湾岸クリテリウムは冒頭に述べたとおりの結果で、2015年前半の12レースを終えてTeamUKYOは6勝、勝率にして5割でシーズンを折り返した。
2012年のチーム始動以来、今シーズンの彼らはおそらく最強といっていい状態にある。一度は危うくなりかけたかにも見えたチーム力が、再び強さを増し始めた今の状況について、チーム監督の片山右京は、「チーム内で良い化学変化が作用したからかもしれない」と考えている。
「プロフェッショナルのチームは、全員の個性がバラバラでもしっかり機能していなければならない。そういう意味での層の厚さを、僕たちも少しは作れるようになってきたのかもしれません」
しかし、同時にこうも言う。
「でも、これはチームが成熟して本当に強くなるための、まだ最初の二段階や三段階目くらいだと思うんです」
(次回に続く)
著者プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。
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