【自転車】TeamUKYOにおけるエース・土井雪広の存在価値
遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第68回】
シーズン折り返しを迎え、国内ロードレース選手権「Jプロツアー」でチーム部門・個人部門ともに首位の座を守っているTeamUKYO。チーム結成4年目となる今シーズンは、過去3年間とどんな違いがあるのか。チームを率いる片山右京に、その違いを聞いてみた。
レース前に集中力を高めているエースの土井雪広 2012年に自転車ロードレースのチーム活動を開始して以来、今年のTeamUKYOはこの4年間でもっとも高い総合力を獲得しつつある。活動開始翌年の2013年にはチーム・個人の両部門でJプロツアーの年間総合優勝を達成し、個人タイトルは2014年も連覇した。だが、その一方でチームタイトルの連覇は逃してしまった事実が物語るとおり、昨シーズンまでの2年間は、むしろ実力の突出した選手数名に依存して高いリザルトを得ていた、という側面は否めない。
去年までの彼らと、今年の彼らの最大の違いは、そこにある。
「選手個人の力のみに頼ってはいけない。それが、僕たちの去年、学んだことです」
チーム代表の片山右京は、そんなふうに今シーズン前半の戦いを振り返る。
「プロのチームである以上、個性の異なるさまざまな選手たちが、それぞれの役割で機能しなきゃいけない。そういう意味での層は、厚くなってきたと思います。でも、今のレベルはまだ決して強いといえるようなものじゃなくて、僕たちが目指しているところからは最初の二、三段階くらいに差し掛かったにすぎない。アジア、ヨーロッパ、そして世界、と視野を広げていくと、今の自分たちの水準はまだほんの裾野程度です。
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プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。