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【自転車】片山右京×今中大介「日本の国力を強くしたい」 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira TOBI●写真 photo by TOBI

今中 右京さんが自転車チームのTeamUKYOを立ち上げて、しかも自分自身が監督に就任するとなると、どうしたって存在感があるし、目立たないわけがない。いきなり最初からトップを狙っていくのは目標として考えていたでしょうし、それがあるべき姿だとも思いました。全員を育成するところから始めると、何十年かかるか分からないから、本当に強い選手を招いてチームに来てもらうことも必要だったし、そうしないとものすごく時間がかかってしまいます。

片山 そういう意味では、土井君が実際にそうだったし、新城(幸也/チーム・ユーロップカー所属)君や、別府(史之/トレック・ファクトリー・レーシング所属)君もそうだと思うけど、ノックすれば彼らはきっとドアを開いてくれる。でも、組織力や総合力でいうと、ヨーロッパと日本は全然ケタが違っていて、これは欧州遠征に行く前に今中さんからも言われたことだけれど、2014年の夏にスペインとポルトガルに遠征して感じたのは、「ポルトガルのレースだけでも新城君レベルが100人いた……」。

今中 100人は大袈裟だけどね(笑)。新城レベルになると、そんなにはいないから。

片山 それで、スペインには150人いて、イタリアでは200人いる……と(笑)。その中から選りすぐった9人(※1)が頂点のチームに上がってきて、さらにそのチームの中でコンタドール(※2)やニーバリ(※3)というエースが選ばれる。そう考えると、世界で勝つとかトップを獲るなんて、そんなおこがましいことは今の自分たちにはとても言えない。

(※1)グランツールなどの大きな大会は1チーム9人編成。
(※2)アルベルト・コンタドール。2007年のツール・ド・フランスと、2008年のジロ・デ・イタリア&ブエルタ・ア・エスパーニャを制して史上5人目のグランツール完全制覇を果たしたスペイン出身の32歳。
(※3)ヴィンチェンツォ・ニーバリ。2014年のツール・ド・フランスを制したイタリア出身の30歳。

 でも、その場所を目指すために何が必要なんだろうって考えると、強い選手を連れてくるだけじゃあダメで、本当の意味で日本の国力を強くしないといけない。そして、そのために何が必要なのかというと、これは全部やらないとダメだな、と。強い選手を呼んでくるし、若い日本人選手も育てるし、アジアのレースも欧州のレースも行く――。でもその前に、目の前にあるツアー・オブ・ジャパンで総合優勝できる実力がなければ、何かを言う資格すらない。それらを達成するために、地道にひとつひとつを粛々(しゅくしゅく)と行なっていくのが、多分、僕たちの2015年の作業です。

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