【自転車】片山右京×今中大介「日本の国力を強くしたい」 (2ページ目)
片山 そうですね。そういう意味では、モータースポーツのほうがまだ一歩前に進んでいて、データの解析や、速く走り勝つためのシステム・物差しがハッキリしています。でも、自転車の世界だと、ヨーロッパでは当たり前とされていることが、日本にはまだ存在すらしていない......という物事がいくつもある。
今中 僕が引退してまだ間もないころは、そのギャップの大きさを何とかしなきゃいけないと思って、けっこう辛口なことを言っていたんですよ。そうしたら、「日本の選手たちは頑張っているのに、あなたは彼らの気持ちを分かっていない」「ファンも一所懸命、応援をしているんだ」と言われたりもしましたよ。
片山 今は土井(雪広/TeamUKYO所属)君が、今中さんと同じことをずっと言い続けていますね。彼も長年、ヨーロッパのプロツアーチームに所属してグランツールを走ってきたから、その厳しさや、日本にはまだそれが何もないということをよく知っている。だから、辛口になる。その彼が、監督もいない、自転車もない、組織もない、こんなチームによく入ってくれたなあ......と。
今中 うん。ホントに土井君はよく、TeamUKYOに来てくれたと思いますよ。
片山 あいつ、いいヤツだな(笑)。
今中 ねえ(笑)。彼は辛口だけれど、すごくしっかりといろんなことを考えている。ヨーロッパと日本の差を少しでも埋めるために何をしなければいけないのか、それは選手として実際に本場のレースを走った彼が、一番良く知っているんですよ。
片山 土井君は辛口なところがある反面、面倒見もすごく良くて、「若い選手を育てたいんだ」と言ってくれています。その彼が、「年齢的なことや、将来も含めたモチベーションの維持を考えると、そろそろ限界が近いから、今もう一度、自分がエースとして勝ちたい」と言ってくれたので、僕も、「よし、分かった」と彼の意気に応えて、今年のチーム体制を(土井選手中心に)組むことにしたんです。選手が本当に力を発揮できる環境を整えるために、僕自身もまだ勉強の連続だから、いろんなものをみんなで作りあげていかなければならないと痛感しています。本当に人を納得させるためには、自分も本気の姿勢を見せなければならない。身体って、やっぱり心が動かしているものですからね。
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