【新車のツボ121】ダイハツ・コペン、
どんどん自分好みに変えられるクルマ (3ページ目)
軽にかぎらず、手頃な量産スポーツカーが世界的にあまり多く存在しないのには理由がある。スポーツカーは発売直後こそバカ売れしても、マニアにある程度いきわたってしまうと販売がガクンと落ちがち。で、スポーツカーは結局、数年スパンの継続的ビジネスが非常にやりにくいのだ。
まだまだポッと出の新興勢力であるS660やアルト・ターボRS/ワークスは「いま売れてます!」と、ひとまずの初期人気に沸いている段階だが、軽スポーツを10年以上支えてきたコペンはちがう。このコペンを見れば想像できるように、ダイハツはすでに「長く売れるためのスポーツカー」という次のステップを真剣に模索しはじめている。
コペンは乗り味でも、三大軽スポーツでもっとも大人っぽい。ミドシップでグリグリ曲がるS660や、パチンコ玉のように加速するアルト・ターボRS/ワークスのような瞬間芸はないが、しっとりと落ち着いて、タイヤは路面にじわりと吸いつく。それは軽とは思えないほど重厚で、高級感すらただよう。
2人乗りのオープンカーであることや、いかにもスポーツカーらしく低い目線であることをのぞけば、乗った感触はまるでヨーロッパの高級コンパクトカーのごとし。表面的には薄味なのに、長く乗るほどにじわじわとダシが沁みてくる感じ。オープンにしたときは穏やかな身のこなしなのに、屋根を閉めてクーペにすると別物のようにカチッと俊敏......と、一粒で二度おいしく、しかもそれぞれに滋味深く、いかにも飽きずに乗れそうだ。
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