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【新車のツボ41】
トヨタ・ポルテ 試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 新型ポルテは、先代ポルテの特徴をほぼそのまま受け継ぐ。全長は4m未満。全高はわずかに低くなったが、乗降性に影響しないギリギリのラインは守っている。床の低さはもちろんそのままだ。しかも先代では1枚だった右側ドア(普通のスイング式ドア)が前後2枚ドアになるなど、その強烈な使い勝手の良さはさらに深まったといってもいい。

 ただし、その走りはまったくどうってことない......というか、クルマオタクには突っつきたい重箱のスミがないわけではない。

 パワステが軽さ優先なのは理解できるにしても、手応えがバーチャル的な感じ。世界には「軽いのに手応えもリアル」なパワステはいくつもある。またそのステアリングホイールが、乗り降りしやすくするために上下につぶれた楕円形をしているのも、運転するとなんか奇妙なタッチ。運転感覚だけでいえば、基本的に真円ステアリングに優るものはない。

 うーん、自分で運転するとどうしても「走りが......フィーリングが......」となるのはクルマオタクの悪いクセ(反省)だが、いやいやポルテだってクルマである。「本物の使い勝手」というなら、運転感覚と乗降性と大切さは同等だし、ステアリングを歪めなくても乗降性をよくする技術はいくらでもある。

 それにしても、こうして「オタクのツボも少しはくすぐってくれよ」といいたくなるのは、ポルテがちょっと感動的なくらいに便利な道具だからだ。お世辞ぬきで。ポルテのある生活が普通になってしまうと、よほど環境が激変しないかぎり、ほかのクルマには戻れないだろう。だから、スポーツカーの86みたいに......とまではいわないが、たとえばタイヤやダンパーの選択、パワステやCVTのチューニング......などなどで、マニアが「オッ!」というくらいに自然で手応えのある運転感覚がここに加われば、ポルテは正真正銘の無敵のコンパクトカーになるかもよ。


【スペック】
トヨタ・ポルテF(2WD)
全長×全幅×全高:3995×1695×1690mm
ホイールベース:2600mm
車両重量:1150kg
エンジン:直列4気筒DOHC・1496cc
最高出力:109ps/6000rpm
最大トルク:136Nm/4800rpm
変速機:CVT
JC08モード燃費:19.0km/L
乗車定員:5名
車両本体価格:164万円

著者プロフィール

  • 佐野弘宗

    佐野弘宗 (さの・ひろむね)

    1968年生まれ。新潟県出身。自動車評論家。上智大学を卒業後、㈱ネコ・パブリッシングに入社。『Car MAGAZINE』編集部を経て、フリーに。現在、『Car MAGAZINE』『モーターファン別冊』『ENGINE』『週刊プレイボーイ』『web CG』など、専門誌・一般紙・WEBを問わず幅広く活躍中。http://monkey-pro.com/

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